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スターレイル用

何も考えてない現パロ2



・刃、応星愛され
・書きたい部分を書いた
・現パロで応星が高校生、刃が五歳児
・丹楓が友情出演
・↑少し口調を現代風に変えてます
・応星の愛が暴走気味
・短い



 ▇◇ー◈ー◇▇

 ある晴れた日曜日。
 初春の涼やかな風、暖かな陽光を受けながら、刃は独り公園を目指して歩いていた。

 『独りで出て行ったりしない』との約束はどうなったのか気になるところであるが、彼なりに言い分もある。母親との買い物中に幼い子供が独りで歩いている姿を見て、何故、己は駄目なのか考えていたのだ。幼児なりに。

 元々騒がず良く言えば大人しい。悪く言えばぼんやりしている刃はいきなり走り出したりはせず、道路でも応星に教えられたルールを守って行動している。最近とて傘を持って無事に学校まで届け、兄を迎えに行けたのだから危ないことをしなければおでかけは問題ないのではないか。
 その成功体験と共に、応星が出かける際、母が『何処行くの?』と、訊き、応星は行き先を告げてから出て行く様子を思い出す。そうすると、勝手に行くのが駄目なのか。そう結論を出した。
「じん、こうえんにいってくる」
 テレビから流れてくる羊が大量に出てくるクレイアニメがエンディングを迎えるを機に、ソファーで寛ぎながら応星の膝の上で愛でられていた刃は宣言するや飛び降りて真っ直ぐに玄関に向かって行った。
「えっ……、独りで⁉」
 行こう。ではなく行ってくる。
 一緒に居る応星の手を引かずに独りで玄関に向かう背中を応星は慌てて追いかけ、小さな体躯を引き留めた。
「独りでおでかけは駄目ってお兄ちゃんと約束しただろ?」
「でも、おなじくらいのこがひとりでいた」
 そういう子も世の中には居るが、過保護な応星からすれば有り得ない事態であり、刃をたった一人で行動させるなど断固として認められない。
 万が一、誘拐などされてしまえば。誘拐でなくても可愛い刃が酷い目に遭わされてしまえば、犯人を全裸で縛り上げてアスファルトの上を引きずり回し、人間として原形を留めなくする程度には怒りが収まらない。
 嫌な紅葉おろしを応星が脳裏に思い浮かべていれば、刃は、
「じんもひとりでおでかけしたい。ちゃんとこうえんにいくっていった」
 と、真摯に訴えて来る。
 刃も来年は小学生。初めは集団登校、下校があるにしても、いずれ独りで通学しなければならなくなる。
 今から練習しておくのも悪くはないのかも知れないとは思えど、応星は中々承服出来ないでいた。
「にーと一緒じゃ駄目か?」
「ひとりでいく」
 応星が嫌いになったのではない。
 自覚はないものの、独りで外に出てお迎えに行けた事実が本人にとっては嬉しく、楽しかったのだ。今日は天気も良く、陽光も温かくて絶交のお散歩日和である。
「ねー?」
 刃は首を傾げながら応星へ、お願い攻撃をする。
 応星は葛藤する。刃の成長を喜ぶべきか、危険と止めるべきか。
 固まったまま答えられないでいると、刃は応星を指で突き、再び『だめ?』と、甘えた声を出す。
「お約束は……」
「かってにひとりでいかない」
 約束が刃の中で都合良く書き換えられているらしい事にも応星は脱力し、どう説得しても隙を見て脱走しそうな様子に床へ突っ伏して呻るしかない。
「解った。お出かけセット用意するから、少し待って、まだ出るなよ。あ、トイレ行っとけ」
「はーい」
 刃は素直にトイレへ行き、用を済ませると応星が用意した黒猫を模したリュックを背負わされる。中には個包装の飴やチョコレート、ティッシュにハンカチとキッズ携帯、少しの小銭。紐には迷子札と防犯ブザーがぶら下がっている。
「はい、おでかけのルールは?」
「まわりをかくにん。くるまやじてんしゃにちかづかない。あかはわたっちゃだめ。しってるひとでもついていかない」
「よし。じゃあ行っておいで。公園までな?満足したら帰ってくるんだぞ?下までお見送りするから」
「できるからいいのにー」
 刃は頬を膨らませるが、例の脱走劇から鍵だけではなくチェーンまでかけるよう徹底しているため、玄関扉の難易度が上がっていることを刃は知らない。
「俺が寂しいんだよー」
「ならいいよ」
 刃は生意気にも兄に付き合って上げている体で返し、見送りを許可する。
 マンションの入り口まで刃を見送り、元気にぽてぽてと歩いて行く姿の愛らしさに感動していた。

 ▇◇ー◈ー◇▇

「あれは……」
 参考書の入った紙袋を持ち、住宅街を歩いていた男性が小さく声を漏らす。
 幼児が独りで歩いている様子を異様に感じ、また、それが見知った対象であったためだ。

「刃ではないか。どうした独りで」
「あ、ふーにーちゃ。こうえんいくの」
 彼は、歳は五歳ほど離れているが、応星と友人である丹楓である。
 当然ながら刃も彼を見知っており、応星に習ったようにきちんとした挨拶をした。
「応星は居ないのか?」
「うん」
 刃の返事に丹楓の表情は曇る。
 応星の溺愛ぶりを知っている人間ならば、この子供を一人にするだろうか。との疑念が確実に湧くためだ。
「迷子なら一緒に家まで行くか?どうせ応星に用事がある」
「まいごじゃない。じんはひとりでおでかけできるの!」
 迷子と決めつけられた事に腹を立て、刃は丹楓を睨む。
 幼いながらも心にある矜持を傷つけたらしいと丹楓が察すると、
「そうか。偉いな。嫌な事を言った詫びにコンビニでおやつでも買ってやろう」
 菓子を選んでいる間に、応星へ連絡を取り、事実確認をしようと画策していれば、刃は小さな手をもじもじさせて迷っているようだった。
「しってるひとでもついていったらだめなの」
 応星が課したルールをしっかりと守っている様子には好感が持てるが、さてはてどうしたものか。友人の弟が独りで居るのを放ってもおけず、かと言って連絡を取ろうにも目を離した隙に見失ってもいけない。
 丹楓は逡巡する。
「そうだな。では刃の行きたいところへ私も一緒に行っていいだろうか?」
「それならいいよ。あんないしてあげる」
 これならば、知ってる相手でも付いていかない。のルールには抵触せず、刃も安堵した様子で歩き出す。
 大柄な丹楓にとって、小さな歩幅について行くのは逆に疲れるもので、いっそ抱っこ出来れば良いのだが、連れて行かれると思われ、うっかり防犯ブザーでも鳴らされては堪らない。

 暫く歩けば幼い子供のはしゃぐ声が聞こえ、目的の公園が近くなってきた。
「お友達と遊ぶ約束でもしているのか?」
「んーん、ぴくにっく。にーちゃにもじんのおやつわけてあげる」
 公園の門柱を通り抜けると近くにあったベンチへ刃は直行し、落ち付くと猫型リュックの背中を開けてチョコレートを渡してくる。
 特段、アレルギーなどはないが、丹楓は甘味を余り好まず、菓子は滅多に食さない。しかし、友人の弟がくれた物であれば、拒否する理由もなく隣に座ってチョコレートを口に放り込んだ。
「折角公園に来て遊ばないのか?」
「んー、あそんでもいいけど……」
 遊具ではなくベンチに直行したことと良い、刃は遊ぶ事への意欲は然程ないようだった。
 応星から、刃は走り回るよりも空や風景を眺める事が好きなようだとは聞いていたが、同世代であろう幼子がブランコ、砂場を取り合い、追いかけっこをしている様子を見ると、刃は随分と特殊な子供なのだろう。
「そうか。好きにすると良い」
 丹楓も『子供はこう在るべき』とするような強要はせず、刃のしたい事を優先させる。
 刃も落ち付いたことだし。と、丹楓が応星へ連絡しようとすれば、メッセージを送るまでもなく、既に応星からの連絡が入っていた。
『入り口の所見てくれ』
 丹楓は飴を口に入れて甘さを味わっている刃を一瞥し、指定された方向へと視線をやれば、門柱の影に見慣れた白い頭が見えた。
『何をしている』
『だって、心配じゃん?』
『わからんではないが……、相変わらずだな』
 何度かメッセージをやり取りし、もう一度入り口に視線をやると応星が柱の陰から顔を覗かせ手を振ると、掌を合わせて拝んできた。謝罪と感謝の意だろう。
『お前が一緒に居てくれるなら俺は一旦帰ろうかな』
『解った。きちんと送る』
『助かる』
 兄達がそんなやり取りをしているとは露知らず、刃は心地好い日差しに身を任せて日光浴を楽しんで居るようだった。
 無為な時間にも感じるが、偶には悪くない。そう思いながら丹楓も刃に付き合ってのんびりしていれば、いつの間にか刃はリュックを抱き締めたまま眠ってしまっていた。

 丹楓がそっと抱き上げても起きず、すやすやと気持ちよさそうだ。
 これ幸いと応星の自宅へと脚を伸ばし、刃の短い冒険はあっという間に終わりを迎え、帰宅を余儀なくされた。

 家に帰ってからも刃は日当たりの良い窓際に寝かされ、時に口元が笑みを浮かべている。良い夢を見ているようだった。現実ではほんの近所を散歩しただけであるが、夢の中では山中、海中、宇宙の果てまでも冒険しているのかもしれない。

「刃に付き合って貰って悪かったな」
「なに、良い休憩時間だった」
 食卓に座り、出されたお茶を啜りながら丹楓が返せば応星は笑みを深くする。
「ま、俺の弟は可愛いからな。癒やされるだろ」
「耳にタコができそうだ」
 応星と共に居れば否応なしに弟自慢を聞かされるため、丹楓は呆れたように苦笑するも、何故か得意げな彼には効果は無い。
「ほら、お前に頼まれていた人体に関する参考書だ」
「おー悪いな。助かる」
 丹楓が紙袋から分厚い本を出し、応星へ差し出すと早速中身を捲っている。
「お前は将来、造形芸術に進みたいのだろう?何故医学書が必要なんだ?」
「医学は直接関係ないけど、人体の構造とか詳しく書いてあって参考になるんだよな」
「成る程。そういう視点で見た事は無かったな。また不要な本があれば持ってきてやろう」
「おう、ありがとな」
 実家が大病院で、医者になることを切望されている丹楓の家には大量の医学書があり、応星が訊ねた際に興味深げに読んでいたため、『そんなに読みたいのなら』と、提供したが、これだけ喜ばれるなら分野が違ったとしても本棚で埃を被っているよりは著者も本望であろう。
「どんな物を作りたいとかあるのか?」
 丹楓が何気なく問えば、応星はにんまりと笑い、
「そりゃ刃の可愛さを世界に知らしめるんだよ」
 意気揚々と大言壮語を吐く。
 もしも、応星が芸術の分野で成功を収めるとすれば、刃は己の模造品が大量に存在する世界で生きることになるため、将来どんな感情を持つのか想像が付かない。
 兄のモデルとして誇りを得るか、もしくは、
「将来、作品を弟に燃やされないように頑張ると良い……」
「何言ってんだよ。お兄ちゃん大好きな刃がそんな真似する訳ないだろ?」
 己を模した作品を嫌悪する未来を示唆するが、応星の耳には届いていない。
 丹楓も、高い能力を有する故に一族から天才だ。神の寵児だと褒め囃されて生きて来たが、偶像崇拝とすら感じる感情は、向けられて必ずしも心地好いとは言えない。

 刃はちやほやされ、有頂天になるような性格でもなさそうだが、さてどうなるやら。
 応星が暴走しないよう、見張っておかねばならない使命感をどこか感じながら、湧き上がる言葉を呑み込むために茶を啜った。

なんも考えてない現パロ:番外楓応編

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