・公式で丹恒の夢電話あるけどこれは勝手な妄想です
・恒刃っぽいです
・穹君の妄想?です
・掌編
夢覗き電話、それは他者の夢に介入してしまう道具。
人のプライバシーだとか、個人情報、そんなものを完全に無視してしまうものだ。
一度、面白半分でかけた際は大守護者を頑張っているブローニャの夢で、冒頭で少しばかり如何わしい夢かと慌ててしまったが、否、実は少々盛り上がってしまったが、これが本当の事かは解らないし、飽くまでお遊びと解釈してもう一度かけてみる事にした。
穹は列車で待機しているはずの丹恒に駄目元でかけてみる。
秘密の多い彼。どんな夢を見るのだろう。熟睡して夢も見ないのだろうか。
仕様も無い好奇心。繋がらなかったら直ぐにでも諦めるつもりだ。
りんりんりんりん。
軽快な音が鳴り、夢に繋がる。
静かで何も聞こえない。
矢張り夢を見ずに眠っているのか?そう思って穹は耳を澄ませてみた。
すると、息遣いらしい物が聞こえる。
片耳を塞ぎ、もっと聞こうとすると、
「ぁ……、ぅう゛……」
苦しげに呻いてはいるが、どこか煽情的で腰回りがそわっとしてしまう低い声。
「い……ん……げつ……」
名前を呼ぶ声は低く掠れて、喘ぐ吐息は淫靡な音を発している。
「俺は、丹恒だ……」
「う゛ぅ……」
丹恒の声も掠れて、呻く声にも聞き覚えがある。
丹恒を飲月と呼ぶ人間は二人。そして、関連性が特に深い相手と言えば、一人の男が頭に浮かぶ。
にちゃ。と、粘着質な音が聞こえ、一際大きな悲鳴が上がった。
重い何かが倒れる音がして、荒い息遣いだけが聞こえる。
穹はナナシビトスラングを叫び、慌てて電話を切った。
もう手遅れな気がしないでもなかったが、いつから丹恒と刃はそんな関係になっていたのか。待て、ここは夢境。出来れば仲良くして欲しいな。な、願望が反映されたのではないか。ブローニャとゼーレも、二人はこんなやりとりをしてそうだな。そんな穹の想像通りのやりとりだったのだから、きっと、行きすぎた願望が変な形で出てしまったのだ。
そうに違いない。
きっとそうだ。
穹は自分を納得させ、スラーダを飲みたい気分になってドリンクバーへとひた走ったのだった。