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スターレイル用

目撃者の煩悶


・ややエロ(挿入はしてない
・モブ視点
・短い
・甘えんぼエロ親父な丹
・漢服みたいのを想像して貰えればありがたい




 早く帰りたい日に限って職場に大事な物を忘れる。
 間々ある事だが、忘れた自分に腹も立ち、自分が悪いのに苛立ち紛れに人に八つ当たりをしてしまいそうで、誰とも話さず自宅まで半ば来た道を逆走する。

 幸い、まだ誰か残っているのか工房に鍵はかかっておらず、作業の邪魔にならないよう、こそこそ入ったのが悪かったのかも知れない。と、後で反省した。

「……には過労死なるものがあるそうだな」
「大丈夫だって」
 廊下を抜け、製図室から人の声がして思わず立ち止まる。部屋の引き戸が少しばかり開いていたせいで声が漏れたらしい。
 片方は説教じみた声、片方は面倒くさそうな声。どちらも聞き覚えはあって、相変わらず仲がいいと思った。持明族の龍尊と、生意気な口を聞くのは才溢れる短命種の応星。

 あの気位の高い持明族の長と負けん気が強い応星は何故か気が合うようで、よく一緒に居る姿が目撃されている。
「そろそろ休んだ方が良くないか?」
「お前が作業させてくれれば直ぐ終わるんだよ!」
 大方、作業に没頭しがちな友人を心配して、休憩がてら呑みにでも誘っているのだろう。そう思ったのだが、聞こえてくる発言に寄れば状況は違うらしく、好奇心が首をもたげ、扉の隙間から覗いてしまった。

 そして、どえらい驚いた。

 見た瞬間、『作業させてくれれば』の意味は直ぐに分かった。
 作業机の前に居る応星の体を、龍尊が後ろからしっかりと抱き込んでいるせいで、製図の道具は手に持っていても動けなくて作業が出来ないと。
「いい酒を取り寄せたんだ。きっと気に入る」
「なら作業させてくれよ」
「明日にすればいい」
「今日中に終わらせたいんだよ」
 このやりとりはいつから続いているのか、ちら。と、見えた机上の設計図は、緻密な設計をする応星が作ったとは思えないほど白く、全く進んでいない事が判る。
「ふむ……、なら、もう作業できないようにしてやろうか?」
 言うが早いか、手が早いか、龍尊が応星の作業服の前合わせを強引に引っ張り、胸部を露出させたかと思えば、両手で揉みしだき出した。
「はっ⁉」
 応星が驚きの声を上げると同時に、自分も声を上げそうになったが、慌てて口を塞げたため難を逃れた。覗きが発覚すれば、どんな制裁が待っているか分かったものじゃない。しかし、目が離せない。動悸が止まらない。

 応星が大変な事をされている。
 止めた方がいいのか。
 いや、無理だろ。

「馬鹿!止めろ……!」
「なら作業を止めて俺と帰ればいい」
 応星は抵抗しているが、龍尊はさしもの龍の末裔と言うだけあって、腕力は天と地ほどの差があるのか、振りほどけないでいる。

 二人がそんな関係だった事にも驚いたが、応星の胸のでかさにも改めて驚いた。
 その肉感的な胸を、龍尊の武芸で鍛えられた筋張った手がいやらしく撫で、揉みながらうなじに舌を這わせる様子は、股間にくるものがある。
 応星の白い肌が徐々に朱く染まっていく様子も、いい肴だ。
「おまっ、いい加減、ぁ……」
 艶めかしい声が応星の口から漏れ、更に肌が朱に染まって、龍尊は実に満悦しているようだ。
 にんまりと、音がするように唇が弧を描き、次の瞬間、大きく口を開けて白い首筋に歯を立てた。鋭い龍の牙ではあるが、甘噛みなのか応星は痛がっていない。それどころか、手から道具を落とし、足が震えて泣きそうになっている。

 可愛いなあいつ。

「で、まだ俺を差し置いて作業を続けるか?」
 首筋に唇を押しつけて痕を付け、龍尊が耳元で喋る。
 どう考えても無理な状況だろうが、これが言葉攻めという奴だろうか。
 やっている事自体は、幼子が構って欲しさに親に甘えてひっついているのと変わらないが、やり方がどうにもこうにもいやらしい。
「そら、答えないともっとやるぞ」
 龍尊は実に意地悪だ。応星は口を押さえているから、答えられないのは分かりきっているのに愉しみながら質問し、更に裾の合わせから下腹部に手を入れて、口では言い辛い場所をごそごそと弄っている。
 もう、応星は完全に腰が砕けているのか、体が地面に沈みそうになっているのに、龍尊は龍の尻尾を応星の股ぐらに突っ込んで、足に巻き付けながら支えている。尻尾がぐねぐねと動いている辺り、あれも肌やら股間を刺激する愛撫なんだろう。
 応星も、とんでもない相手に好かれてしまったものだ。

 にしても、目に涙を一杯に溜めて、快楽に耐えている応星は実に素晴らしい。
 これからどうなる!と、わくわくしながら、かぶり付いて覗いていたら、不意に龍尊がこちらに向かって掌を向け、水の玉を飛ばした。
 子供の水鉄砲を億倍強化したような玉、いや、弾が俺の頭の上を掠め、興奮が一瞬で冷めるような怖気と共に龍尊と目が合い、全身が総毛立った。
「たん、ふ……?」
「蟲が居たから払っただけだ。応星、もう作業は出来ないな?」
「ばか……」
 舌足らずでぼやっとした応星の声も可愛い。
 なんて頭の片隅にはあったが、これ以上覗いていたら殺されると理解したため、本当に蟲になった心地でかさかさと逃げ、後がどうなったかは知らないが、翌日、応星は休みを取っていたため、大分可愛がられてしまったんだろうと、容易に想像はついたし、あれ以来、応星を普通の目で見られなくなってしまったので、龍尊に損害賠償でも請求したい気持ちはある。出来ないが。

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