・勝手な妄想
・まだ理解出来ていない部分もあるので、可笑しい部分もあったらすみません。
・萌のままに書いたものです
・公式ミニキャラののんびり茶しばいてる二人と、人との会話から出来た話です
・後半はエロになります
・媚薬ネタだけど激しくはないです
・タイトルは刃ちゃんの公式イラストの彼岸花からです(また会う日を楽しみに・思うは貴方一人・悲しい思い出。です)
・2023年5月26日くらいに書いた まだ羅浮のストーリー前半時点(1.0)の情報で書いてます。 時系列とか知識が足りなくて可笑しいかもですが妄想って事でご容赦ください。
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○月×日。
仙舟・羅浮が星核影響による異常に見舞われる。
その後、星核を暴発させた犯人と思しき星核ハンター、カフカの仲間である刃を捕縛。
カフカは未だ逃亡中、唯一の情報源である刃を審問し、追求すべし。そんな声が上がった。
刃は捕縛した当初はある程度言葉を発したものの、以降は黙秘を貫きこちらの問いかけに応えようとはしない。
「こんにちは、少しいいかな」
景元が柔らかな笑みを浮かべながら、鎖に繋がれたまま簡素な椅子に座らされた捕虜、刃の対面に置かれた椅子に座る。
捕虜を閉じ込めるための監禁部屋の中には、鉄柵がはめ込まれた小さな明かり取りの窓があるのみで薄暗い、そんな中、闇に溶け込みそうな黒色の髪色を持ち、服を着た男の存在感は希薄そうでありながら、瞼を開ければ石榴のような苛烈な色が景元を出迎えた。
「少し、話をしないか?」
黒色の中に映える石榴の瞳、耳元に垂れる棒状の耳飾りが微かな身じろぎに合わせて揺れるが、唇は閉じられたまま開かれはしない。
「何か機を待っているのか、ただ自暴自棄になっているのかどっちだい?」
目的、先を解明したいのであれば自分に早く渡せ。大衍万象を操り、未来を見る符玄にはそう急かされているが、景元は刃と対話を試みた。
「今や指名手配の身とは言え、元々、同郷だろう?少しは腹を割ってみないか?」
景元が微笑んでも返ってくるのは静寂ばかり。
「ふむ、困ったな。少し待っていなさい」
景元が席を立つと、幾分、刃の目に怪訝な光が宿るが、直ぐに興味を失ったように虚空を眺める。 ほんの数分で戻ってきた景元の手には、湯飲みと茶菓子なのか掌大の饅頭が二つ置かれた盆がもたれていた。
審問とは思えない道具の出現に、刃は僅かながらも驚きを見せ、何度か瞬く。
「君は、自分の身を省みない戦い方をする上に、痛みや苦しみに強いと聞いている。拷問や無理に心の中を覗こうとしても無駄だろう。甘い物と茶は心が落ち着くよ」
そうは言っても、相手は敵対する人間であり、差し出されたとしても揚々と口に運びはしないと理解はしていた。
「私も同じものを食べて飲むから安心しなさい。毒なんて入っていないよ」
視線を合わせようともしない刃の前に座り、景元は饅頭を手に取って口に含む。
柔らかい皮と、優しい餡子の甘みが舌の上に広がり、美味しさに景元の口元が綻ぶが刃が興味を示してくれる様子はない。
「美味しい店の饅頭なんだけどね。要らないかい?君はどんなものが好みだ?用意してくるよ」
景元はしばし待ってはみたが、無言を貫く刃に撤退すべしとの判断を下して席を立った。
「また明日来るよ。明日は何が好きか教えてくれると嬉しいね」
言葉だけを残して景元は監禁部屋を後にし、符玄に喧しく言われる説教をどう躱すか思案する。
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「やぁ、今日は甘いのと塩っぱいものを持ってきてみたけど、食欲はそそられないかな?」
監禁室の机に、芋の入った甘い蒸し面包と、香ばしい匂いを漂わせる煎餅、昨日と同じ茶が置かれ、景元はさも親しい友人と基を打つような態度で話しかける。
しかし、刃は視線を向けただけで相変わらず応えはしない。寧ろ、何を考えているのかと蔑んですらいるようだった。
「うちの料理人が作ってくれたおやつなんだが、美味しいよ」
景元は困ったように眉を下げ、意固地な子供に対するように言い聞かせても刃は無視を貫く。当然と言えば当然だが、捕らえられて二日。腹も空いて喉も渇いているだろうに。と、景元は思う。何かを待っているにしても、尋常ではない精神力である。
あるいは、死したとしても何も思わないのか。
初日に比べ、やや窶れたように見える顔貌を景元は窺い見る。
看守の言によれば、景元が訪ねてくる以外の刻は、ずっと目を閉じて生きているのかも分からないほど微動だにしないそうだった。
「捕虜に出される食事にも手を付けていないそうじゃないか、勘弁してくれないかな。仙舟同盟に羅浮は捕虜を虐待するのだと勘違いされてしまいそうだ。せめてお茶だけでもどうだい。ほら、何もない」
刃の前に置いた茶を景元は一口飲み、毒物や自白剤などが入っていない事を示す。が、刃の手は動かない。
「駄目かな?君は何が好みだ?持ってくるよ」
景元に応える声はない。
自分の分を食し、景元は席を立つ。
「刃、置いておくから、少しでも口にしてくれると嬉しいかな」
飲食物を摂取していないせいか、刃のやや乾いた頬に指を当て、景元は悲しそうに笑う。しかし、刃は煩わしそうに目を細めて睨み付けるのみだった。
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さて、今日は何か食べてくれるかな?」
景元が机に広げたのは酸味のある梅干し、甘い杏の砂糖漬け、瑞々しい切り分けられた桃。傍らには蒸かし芋に塩を振ったもの、薬膳の粥、香辛料の強い香りを漂わせる麻婆豆腐、いつものお茶と多種多様だ。
「な……」
黙秘を貫いていた刃も流石に動揺したのか、一言だけ漏らしたが隣に椅子を引いて座った景元から顔を背ける。
「いいから食べなさい。空腹には先ず胃に優しい粥がお勧めだが、碌に水分もとっていないのだろう?」
景元が大きな急須から湯飲みに茶を注ぎ、一口飲んで見せてから刃の手に半ば無理矢理持たせ、飲むように促す。このままでは確実に捕虜は衰弱してしまい、死んでしまいかねない。死ぬぞ。と、脅した所で、まるで死を求めるような戦い方をするこの男には効くまいとして景元は摂取のみを促す。
「今日は、飲み食いしてくれるまで帰らないからそのつもりでな」
「は……、将軍様は随分とお暇と見える」
擦れた声での嫌味など景元は何処吹く風といなし、湯飲みを持った刃の手を己の手で包むと口元へ持って行く。
「いら……」
「飲むんだ。今私が飲んだ。可笑しなものは入っていない。人払いもしてある。君を害する者はここに居ない」
景元が拒む刃の顎を掴み、有無を言わせず口元に湯飲みを付け、強引に傾けて薄く開いた唇に温い茶を流し込めば、本人の意思とは裏腹に、飢えていた体は入ってきた水分をほぼ飲み下し、微かに唇の端から溢れたものが零れる程度で済んだ。
刃は何度か咳き込み、手についた鎖を鳴らしながら景元の手を振り払おうとするが、あえなくたたき落とされた挙げ句、今度は粥を乗せた匙が口の中へと押し込まれた。
「捕虜を衰弱させては私の沽券にも関わるのでね。なんなら体を拘束して口に管を押し込んで腹に流し入れも良いのだが、お勧めは今、私の手ずから素直に食べてくれる事だ」
「ぐ……」
匙を持った手を揺らし、刃を諭す景元はまるで偏食な子を叱る親のようで、刃の顔が引き痙るが、景元は強引に次の粥を口へと運んでいく。
「ほら、ちゃんと飲み込むんだ。吐き出してはいけないよ」
水分が多い粥を刃の舌の上に流し、顎を掴む手に力を込める。
よもや顎を砕くような真似はしないまでも、ここで飲み込まねば完全拘束の上、管を押し込まれる予感を感じた刃は大人しく喉を上下させ、粥を胃に送った。
「うん、いい子だ」
景元は微笑み、次、また次と粥の入った皿が空になるまで何度も匙を刃の口に運び、今度は果物を摘まんで唇に当てる。
「食べなさい。美味しいよ」
瑞々しい桃の果汁が刃の唇を濡らし、顎に伝って景元の手も汚すが、刃が自ら口を開くまで、じ。と、見つめながら待っている。粥を食べさせた事で多少、満足はしても、最終的には自ら食べるまで持って行きたいのだ。
「いらな……」
「食べるんだ」
桃を持つ指に力がこもり、果汁が景元の指から溢れて零れていく。
刃は逡巡の後、薄い唇を開いて桃を頬張り、意趣返しとばかりに景元の指を噛んでやったが、
「痛いな」
歯形が残るほど噛んだというのに景元は微笑みながら一言で終わらせ、また桃を刃の口へ運ぶ。
「いつまでこんな茶番を……」
「君がきちんと自分から食べるようになるまでだな。ほら……」
受け入れなければ終わらない、ある種の拷問である。
拒否し続ければいつかは終わる可能性もあるが、終わらない可能性もあった。
これは、刃にとっては必要な苦痛でも何でもなく、ただただ面倒ごとでしかない。受け入れなければ面倒が長くなるだけ、受け入れれば今すぐにでも終わる。どちらを取るかは明確だった。
「分かった。手を放せ……」
景元の手にある桃を食べ、解放された刃は手を伸ばして杏を一つを囓り、息を吐いた。
「もう要らないか?」
「もういい……」
実際、何日も食物を取り込んでいない肉体に急に押し込まれたものは、ほとんど異物のようで、刃が吐きそうになっているのも事実だった。
「では、次は風呂だな。気分が変わるぞ」
鷹揚に頷いた景元は立ち上がるや否な刃を横抱きにし、問答無用で浴室へと運んで手錠を外すと服に手をかけて脱がしにかかる。
「巫山戯ているのか貴様!」
「脱がなければ湯に入れないだろう?」
「放っておけ!」
「汚れてしまったから湯に入る。当たり前の事だ。安心しろ、服も用意してある」
先程と変わらず、景元が決して引かない表情で刃を見つめていた。
「逃げると思わないのか……」
「私が逃がさない」
景元は言い切り、刃に服を脱いで浴室へ入るように背中を押す。
面倒ごとの繰り返しに、さしもの刃も疲れを見せ、服を脱ぎ捨てれば景元が満足げに頷いた。
「満足か……」
「それなりにな。ふむ、傷だらけだな。ここの湯は古傷を癒やす効能もあるからゆっくり浸かるといい」
景元は上機嫌に微笑むと、宣言の通りにゆっくりと、刃がのぼせてしまうまで共に湯に浸かり続けていた。
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「また貴様か……」
刃がうんざりしたように様々な食べ物を手に監禁室へとやって来た景元を睨む。
「今日は少しだが食事をしたそうじゃないか。いい傾向だ」
「また口に押し込まれるよりはマシだと考えただけだ……」
手錠はついたままでも反抗的な態度は変わらない刃に対して景元は怒りもせず、手慣れた様子で食べ物を置く。
「今日のお勧めは肉まんだな。暖かいうちにお食べ」
景元が白い蒸気を立てる肉まんを手に取り、半分に割って一口囓って見せ、刃に渡そうとするが、俯いて視線をそらすばかりで受け取ろうとしない。
「どうかしたのか?」
「なんでもない。さっさと帰れ」
再び拒絶を始めたかとも見えたが、景元の耳には刃の声が微かに震えているように感じ、よくよく観察すれば髪に隠れた頬の紅潮が確認でき、肌も汗ばんでいるようだった。
「体調が優れないか?」
「どうでもいいだろう。不要な詮索だ」
拒絶の言葉を吐き、刃は唇を引き結ぶが、苦痛に強いこの男がこのようになっているのだ。これは尋常な事態ではないと容易に想像できた。
「私の権限で薬師を連れてくる。大人しく寝ていなさい」
直ぐさま立ち上がり、景元は暴れる刃を抱きかかえると部屋の隅にある粗末な寝台へと寝かせ、状態を診ようと頬に手を当てようとしたが手を強く払われ目を丸くする。
「さ、わるな……!」
抵抗を見せる刃の呼吸が弾み、胸が大きく上下する。
睨み付ける目は涙で潤み、石榴の赤が柔らかな茜に変じて景元の心をざわつかせた。
「これは……」
「寄るなっ!出て行け……!」
刃は体を丸め、景元に背を向けて荒くなった呼吸を整えようとしてか大きく息を吐くいた。それに、色欲の情が見て取れないほど景元は幼くはなく、現状を察してしまう。
「君が苦痛に強いとの情報からかな。要らぬ気を利かせた者が居たようだ……。直ぐに探し出して処罰しておこう」
見張りに立つ看守、捕虜の食事を用意する者。捕虜に食事を運ぶ者をそれぞれ頭に思い浮かべながらも、景元は寝台に手をついて刃へと問いかける。
「ここに医師、薬師以外の部外者は呼べない。君を満足させてあげられるような相手は私しか居ないようだが、どうする?」
「でて……いけ……」
「本当に?君から香る匂いからして、相当な薬だ。気が狂いそうになるほどの情動に苛まれるよりも、ここで私に身を任せた方が賢い選択だと思うが、なに、部下のしでかしだから恩は売らないよ。猫に甘噛みされるようなものだ。明日、目が覚めたら忘れればいい、私も忘れよう。刃……、さぁ……」
景元が手を優しく刃の胸元から腹へと滑らせながら、耳元で甘言を囁く。
「う……、ぅ……」
刃が呻き、膝を擦り合わせてながらも殺気混じりの怒気を含んだ目で睨み付けるが、体が興奮を訴え、解放を望む涙を湛えた瞳は甘く揺れる。
「刃……?」
景元が刃の肌に浮いた汗を拭うように頬を撫で、熱の籠もった目で見詰める。
「貴様、罪人に興奮するのか……、勝手にしろ、変態が……」
嘲るような言葉に解放への期待が込められて、縋るような瞳で景元を映した事は、見詰められた者しか知らぬ事だ。
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景元が刃の衣服をほどき、胸元を開くと真新しい包帯が巻かれた胸部が出てくるが、ほどいても傷自体は古いものだらけで包帯を巻く必要性はあまり感じられない。
「風呂の時も思ったが、これは胸を押さえているのか?」
常日頃、刃が身につけている体の線に沿って縫製された衣服。
前面を紐で止める種のものであるが、胸部が閉まり切らずに隙間を作っている事には景元も気づいてはいた。
「押さえてアレなのか……」
「うるさい……、さっさと終われ、変態……」
無駄な言及に苛立ちを隠さず、体の下で悪態しか吐かない刃に微笑みだけを返し、手に心地良い弾力を返す胸を撫で、汗が浮いた首筋に噛みつきながら景元は愛撫を施すが、刺激が強すぎるのか刃は身を捩らせて快楽を与えてくる手から少しでも遠ざかろうとしているようだった。
苦痛や恐怖に屈しないのであれば、別の感覚で屈服させればいい。との、安易な考えは、強ち間違いではないのだろう。この羅浮で刃に対抗できる武力を持った人間は景元のみであるが、この男が薬一つでこうまでも隙を見せてしまうようになるとは、奇策も侮れぬもの。
だが、
気分がいいものではないな……。
悔しげに歯噛みしながら吐息を弾ませる刃を見下ろし、心の内で景元は独り言つ。
策を弄するからには全てが正々堂々とは行かないが、それでも敵の尊厳を根底から奪うような行為は勝利を以てしても覆せない汚点となる。今、行っている行為は正にそれであろう。
これはたった一度の秘め事。
互いが忘れたと断じれば、なかったも同然。
快楽に耐える刃を眺めながら、景元は緩々と衣服を剥ぎ取っていき、手の拘束は外すべきか否か、一瞬の逡巡の内に錠を外した。
「今、こんなものは、野暮だからな」
拘束を解かれるとは思わず、薬に脳を冒されながらも訝しがる視線を送った刃に微笑みながら景元は枷の痕がついた手首に唇を落とす。
「刃、私に身を委ねてくれ……、傷つけはしない」
「そんなもの……」
どうでもいい。と、刃は続けたかったが、胸を愛撫していた景元の手が下腹部に触れた瞬間、息を詰まらせた。強制的な興奮に、刃の性器は痛々しいほど屹立し、景元に軽く触れられただけでも体中に電流を流されたような快楽に襲われ、目の前がぐらぐらと揺れる。堪らない感覚。自分ではどうしようもない屈辱と怒りが心の内に湧き、それを発露する術は、目の前の男を殺す事でしか晴れない。しかし、それすらもままならない自分に、また怒りが湧き、感覚も、感情も全てがぐちゃぐちゃに掻き混ぜられ身悶える。
そんな刃を知ってか知らずか、はたまた意に介していないのか、景元は刃の体をどこまでも優しく愛で、古傷に一つ一つ唇を落としながら性器に触れる。敏感になった刃の性器は敢え無く達してしまい、景元の手と自身の下腹部を濡らしながら性の匂いを振りまいて室内の空気を淀ませた。
「ぁ……」
体液の滑りを借り、景元が刃の性器に何度も指を這わせれば、あえかに零れる声。
慣れていないものか、強制的に発情させられている事実が未だ許容できずにいるのか、景元には心の中までは察せないが、寝台の布をきつく掴み震えながら体を丸める様子は性欲よりも庇護欲が刺激されてしまう。
「大丈夫だ。任せておけ」
耳元で囁きながら滑らかな黒髪に口づけ、刃を慰めつつ体液でしとどに濡れた手を刃の後孔に沈めて体内に塗り込めば、刺激によってとろとろと性器から体液が溢れて肌を伝い、後孔を濡らしていく。
刃の体を傷つけないよう、景元の男らしいごつごつとした手からは信じられないようなで繊細さで内も外も愛撫を続け、じっくりと孔を広げてれば、
「さっさと、やれっ……」
と、刃が喘ぎながら景元を急かす。
「私は君を傷つけたくはないんだ」
「うるさいっ……、もういい……!」
「しかしだな……」
「いい、こんな……」
こんな。と、刃は繰り返し、苦しげに顔を歪ませ両手で目を覆う。
景元は刃の頬を撫でて唇に口づけ、
「では、挿れるが……、痛かったら無理をしないでくれ」
景元が下穿きの前を寛げ、刃への興奮を示す性器が姿を現す。
傘が張り、陰茎も太く長い性器は一種の凶器のようにも見えて緊張を誘う。
景元が体を硬くする刃へと覆い被さり、あやすように背中を摩りながら少しずつ挿入していけば、腹の奥を押し広げられる圧迫感、体内を抉られる違和感に堪らず呻き声を漏らした。
「君の中は、狭いな……」
景元がどこか嬉しげに呟き、緩やかに腰を揺らせば刃の足先がぎゅう。と、丸まり、息を詰まらせる。
「う……ぁ、ぐ……」
「我慢しない方がいい、私以外は誰も居ないから。ほら、明日には忘れるんだ。自分を曝け出しても構わないだろう?今だけだ、今だけだよ……」
景元が喘ぐ刃の傷だらけの体を抱きしめながら涙の滲んだ目元に口づけ、強ばった手を握りしめて腰の律動を早めて行けば、刃の苦しげな呻きは色を含んだ啜り泣きに少しずつ変わっていき、意識せず手を握り返してしまう。
暗い監禁室の中に粗末な寝台が軋む音が響き、白と黒の対局のような二人が重なって絡み合いながら一つの影となり、荒い二つ分の呼吸が混ざって溶けていく。
「じん、すまない……」
景元が上擦った声で一言呟くと、刃の返事を待たないまま更に奥へと凶器のような性器が押し込まれ、じわ。と、熱が広がっていく。
与えられた衝撃に文句を言おうにも刃の目の前は、何かが爆発したかのような明滅を繰り返し、視界が定まらない。
「刃……」
興奮した様子を隠そうともしない景元の声。
鍛え上げられた刃の胸部を両手で鷲掴み、弾力のある感触を味わいながら景元が乳首を抓り上げれば体に電流が走り、勝手に腰が揺れる。
「っ……、ぁ、それ、やめろ……!」
「そうか?心地好さそうだが……、まだ、薬も抜けていないだろう?」
揉まれ、乳首を擦られる度にぴくぴくと小刻みに体が跳ね、体内は景元の性器を締め付けて放そうとしない。
今だけ、この一度だけ。考えれば考えるほど、景元自身が直ぐには離れがたく、薬を理由にする。
「刃、口づけさせてくれ……」
「まっ……」
胸を愛撫する手を止めないまま景元が刃へ顔を近づけ、口を開いた事を行幸として唇を深く合わせ、口内を嘗め、舌を吸う。そうしていれば再び血の昂ぶりが性器の屹立を促し、軽く腰を揺するだけでも精を注がれた孔はぐちゃぐちゃと猥雑な音を立て、刃の体内を苛み始めた。
「うぁ、っ……く……」
「苦しいなら、私の背中に手を回すといい」
絶え間なく与えられる快楽に悶える刃に、さも救いとばかりに手を取って自身の背に回させ、体と体の隙間をなくす。
二度目と言うのに興奮は高まるばかりで、自分でもいつ終わるのかが判らなくなってきてしまう。
優しかった律動は次第に激しくなっていき、悲鳴にも似た声で喘ぎ、背中を丸めて縋り付く刃へ、捕虜へのものでない感情が湧き、景元の心が揺れる。
「刃、このまま私の元に……」
景元が刃をきつく抱きしめながら精を放ち、息を吐いた瞬間、言ってはならない言葉がまろび出た。
頭が冷水を浴びせられたように急激に冷え、慌てて口を噤む。
「刃、今のは……、刃?」
聞けば悪態の一つも吐きそうな男が実に静かに過ぎ、恐る恐る表情を伺えば、刃は目を閉じて気をやっているようだった。ぐったりと弛緩した肉体は、風呂にのぼせてしまった時を想起させたが、呼吸や心音は正常で、ほっと胸を撫で下ろす。
随分と無茶をしてしまったかも知れない。
そう思いながら、刃の体内から性器を抜けば、微かに反応を示す体に景元の肌が粟立つ。
「はぁ……、私もまだ若いな……」
景元は額に手を当てて嘆き、煩悩を追い払うように頭を左右に振ると、刃を横抱きにして浴室へと向かった。
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刃と景元が体を繋げた翌日、刃が逃亡したとの知らせが舞い込んだ。
「どうやって……」
「わ、わかりません……、でも、気がついたら刃が消えておりまして……!も、申し訳……」
景元は、そうか。とだけ呟き、厳戒態勢を敷く指揮を執り、カフカ及び刃の捕縛命令を秘密裏に下す。
慌ただしく動く兵を送り出し、静かになった神策府で景元は思案する。
「奴は他人を支配できるのだったか……」
となれば、雲騎軍の兵士を操り、逃亡の手助けをさせたと容易に想像がつく。が、何故今なのか、とうに潜り込んでいたのなら、刃をいつでも逃亡させられたはず。
狙いは何だ。
暴走した星核との関連性は……。
思考を深める景元へ、再び慌ただしい報告が舞い込む。
閉鎖してあるはずの羅浮へ、突然、不審な船が侵入し、それは星穹列車と名乗っているのだと。
「全く、逃がしてしまった小鳥を惜しむ暇もないな……」
「な、なんですか?」
「いや、なんでもない。御空が対応しているのだったな?彼女の事だ。生真面目に厳しく接しているのだろう。私が出るよ」
小鳥。と、表現するには苛烈すぎる人物だが、腕の中に収めた際に感じた暖かさは、そう言い表すのが相応しい。
・刃ちゃんがカフカには敬語だったら萌えると思いました。
・カフカが刃ちゃんを茶化してます
・口調は若干迷子です
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どこまでも優しく愛撫して熱を与えてくる手。
全身に醜く残る古傷を愛おしむように何度も唇を触れさせ、甘ったるい声が名を呼ぶ。
実に悍ましい悪夢だ。
刃が瞼を開き、周囲を見回せばコンテナが山と積まれた集積所が視界に入った。
「あら、刃ちゃん起きた?」
「すみません。眠ってしまっていたようです」
いいのよ。と、カフカが朗らかに笑い、小さなコンテナに座る刃の頭を細い指先で撫でて顔を覗き込んできた。
「なんでしょうか?」
にこにこと愛らしい笑みを浮かべたまま、カフカはまじまじと刃を観察し、どことなく居心地を悪くしてくる。彼女がこうして絡んでくる時は、大体、良くない事だ。
「ふふ、お腹でも痛いのかなって思ったの」
「腹……?」
「無意識なの?ずっと触ってるから」
カフカに指摘され、刃は自分が手で腹を押さえていた事実に気づく。
「痛くは、ありません……」
実際、痛くはない。
それよりも性質が悪いものだ。
捕虜の身から逃亡して暫く経つと言うのに、未だ腹の奥が妙に疼き、景元の熱が残っているような感覚があるため気持ち悪くて堪らないのだ。だが、こんなものをカフカや銀狼に告げる必要はなく、刃は『なんでもない』とだけ返す。
「ふぅん?赤ちゃんでも出来ちゃったのかと思った」
カフカが天使のような微笑みを浮かべたまま悪質な冗談を吐き、くすくすと鈴を転がすような声で笑う。
瞬時に刃の頬が朱に染まり、二の句を継げないで居るとカフカは更に面白そうに笑った。
「貴方は、あの方からどこまで未来の脚本を見せられているのですか?」
「んーっ、大体把握してると思うわ」
カフカが人差し指を頬に当てながら愛らしく小首をかしげて見せ、刃に最悪の回答をもたらす。
直接見られていた訳ではないが、己の痴態を知られて喜ぶ人間はいないだろう。刃の全身が羞恥に熱くなり、口を動かしても言葉にならずに、酸欠の金魚のように唇が動くばかり。
「大丈夫、貴方が目的を見失って、私たちを裏切らない限りは大切な仲間よ?仲間のプライバシーはちゃんと守るから安心して?」
カフカが刃の朱に染まった頬を撫でながら、忠告とも脅迫ともとれる言葉で諭し、背を向けた。
「さ、移動しましょ、お仕事はまだ終わってないから」
「わかりました」
立ち上がりながら顔に集まった血液を散らすように刃は顔を擦り、先導するカフカの後を追う。
暫くの間、これをネタに揶揄われるのだろう予感を感じながら。