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スターレイル用

一時の休息の間【分岐】

・ 一時の休息の間の分岐(途中から)
・積極的な刃ちゃんが逆転される話
・前提に楓応
・R18
・色々拗らせ丹恒




 飾り釦を刃が開くと、包帯に包まれた男でありながら豊満な胸が現れて、心臓が跳ねると共に丹恒の顔が熱くなってくる。
 刃は暇潰しにここへ来たと言った。これも暇潰しの一環なのか。
「触らないのか?」
 見詰めるばかりで硬直してしまっている丹恒の手を取り、刃は自身の胸に押しつける。
 包帯のざらつく感触の下に、確かにある柔らかな感触と掌に微かに感じる乳首の存在が更に丹恒の体温を上げ、鼻から何かが垂れてくる。
 刃が、ぐ。と、可笑しな声を上げ、顔をひくつかせたかと思えば丹恒の手を離すと背を向けて肩を振るわせていた。
「な、なん……」
 鼻の下を拭うと、果たしてそれは赤い血液で、興奮しすぎて鼻血が出てしまい、刃はそれを嗤っている。
「ふ……ふふっ……、くっ……」
 とうとう我慢出来なくなったのか、丹恒の布団に顔を押しつけながらも笑う声が止まらない。
「嗤うな!お前がっ……」
 人を嘲弄する刃に、怒りまで湧き出した丹恒が肩を掴み、刃を仰向けの姿勢に戻す。
 未だ、刃は口元をにやつかせ、くすくすと嗤っている。戦闘での負傷ではなく、高潔な龍の末裔である飲月、もとい丹恒が興奮で鼻血を流す無様が可笑しくて仕方が無いようだった。
「乳でも吸うか?」
 笑いを含んだ茶化す声は、ますます丹恒の頭に血を上らせる。しかし、刃の手が、股間を撫で、指先が膨らんだ部分の形を確かめるようになぞると、ぞく。と、腰回りが重くなり、下腹に力が籠もって息がしづらくなる感覚に襲われる。
「こんな化け物に興奮するとはな」
 依然として刃の声色には嗤いが滲み、常ならば性の雰囲気など微塵も感じさせない清廉潔白な顔をしながらも、煽られてしまえば情けなく鼻血を流し、股間を膨らませてしまっている丹恒を面白がっている。
「舐めて慰めてやろうか?」
 言いながら、刃は赤い舌を出してみせた。
 彼は皮膚の下に血の気が通っているのかも解らないほど白い肌をしているにも拘わらず、舌は生命活動の活発さを表すような赤。それが淡い色の唇を舐める。
 
 暇潰しにしても、実に性質が悪い。
「お前、いい加減に……」
 治まらない動悸と性感を伴う興奮。
 しかしながら、このまま遊ばれている状況は如何ともし難く、いっそ追い出すか考えて、苦言を呈しようとした矢先に刃が体を起こす。
「勃せた責任は取ってやる」
 刃は薄ら笑いを貼り付けた表情で丹恒の顔を撫で、そのまま顎、首、胸を指先でなぞり、股間部分に辿り着けば灰色のパンツにあるファスナーを引っかけて開く。開いたそこには長大な男性器が熱を持って主張しており、下着を引けば飛び出してきたそれを刃は躊躇わずに口に含み、喉奥へと呑み込むと舌で舐め上げながら引き抜く。
 濡れた腔内に愛撫される感覚が齎す快楽は丹恒の性器は最大まで硬く大きくし、刃は鼻を鳴らす。
「ま、好きな女の事でも考えていろ」
「は?」
 刃が意味の分からない事を言いながら丹恒に跨がり、スラックスを半端に脱いで丹恒の性器を支えながら腰を落とす。丹恒の性器は暖かな肉に包まれ、刃が腰を揺らせば吸い付くような締め付けに性感を煽られる。
「刃……」
「黙ってろ」
 白い肌がほの赤く染まり、絹糸のような黒髪が流れ、体が揺れる度に豊かな胸が揺れ、刃の灼眼が涙で潤んで柔らかな光を宿す。
「好きな女とは、誰を想定して言ってるんだ?」
「言っただろう?俺は暇潰しに来ただけだ。貴様の都合なんぞどうでもいい」
 く。と、刃が口角を上げて嗤う。
 見下すような笑みのまま、刃は腰を揺らして丹恒を追い込んでいく。
 刃自身も法悦を感じてはいるようで、息は上がっている。だが、喘いだりはせず、じ。と、丹恒を見下ろして反応を伺っている。どうでも良いとしながらも、切なげに見詰める視線と絡めば丹恒は得も言われぬ怒りに襲われ、腹に置かれた刃の手を掴んで布団に押し倒す。
「飲月……、貴様……!」
「俺は、丹恒だ」
 飲月と呼ぶ声に苛立つ。

『丹楓』
 同じ音で甘やかに名を呼ぶ声を知っている。
『愛してる……』
 深い情を囁き、伸ばされる手。
 柔らかに微笑み、愛おしげに見詰めてくる瞳。

 応星と刃は最早違う人間ではあるが、丹恒は何一つとして刃を独占出来ない。
 刃が刃と成る以前に、応星が長命種になった事も、男に抱かれて性感を得るのも丹楓がそうしたからだ。刃が何を思って丹恒を誘ったのかは知れないが、代わりだとしたら、否、代わりとすら思わず、『丹楓』として見ているのなら。
「俺を見ろ」
 転生したとしても、理屈上は別人でも、龍尊とは地続きの存在だ。
 切り離せるものではないと理解した。だが、今の感情は丹恒のものであり、丹楓は関係ない。
「俺は……、俺としてお前と向き合いたい」
 腕をきつく掴み、丹恒を見ているようで、見ていなさそうな刃を真っ直ぐに見詰めながら告げる。
 刃は視線こそ逸らさないものの唇を引き結び、何も言わない。
「刃……」
 丹恒が顔を寄せても刃は避けず、唇を受け入れる。
 手首を離し、手を滑らせて掌を合わせるように指を絡めて律動すれば、刃は腰を跳ねさせてくぐもった声を上げる。
 丹楓が憎たらしい。この燃えるような感情は、悋気だろう。
 脳裏にいつか読んだ小説の一節が浮かぶ。

 『嫉妬。それがお前の、愛されたいと念じた揚句の収穫だ。実に、見事な収穫だ』

 俺は刃に愛されたいのか。

 腰を抱き、肌が密着するほど奥を穿てば刃は背を反らし、息を呑んで身悶えた。

 どうすれば、お前は俺を見てくれる。
 お前の中の丹楓の影はどうすれば消える。
「なぁ、刃……?」

 手をきつく握り込んで、耳元で名を呼び、呼び返してくれる声を期待する。
 もしも、『丹楓』などと返されたら、激高してしまうかもしれない己を不安に思いながら。
 だが、刃は激しく抱かれる法悦に瞳を潤ませながらも頑なに口を噤み、呻くような声しか丹恒の耳には届けなかった。
「刃……!」
 焦燥感と哀愁に次第に咎めるような口調になる丹恒が首筋に噛み付けば、刃が鋭い声を上げた後、ぐったりと脱力した。だが、彼のスラックスは汚れていない。女性のように内にある性感で達した事になる。
 ひく。と、身を震わせる刃の体内は雄を求めるように収縮し、より欲しているような様相となり、丹恒の悋気を増幅させる。
「刃、一度だけでもいい、俺を呼んでくれ……」
 呼びかけるも息を弾ませ、石榴色の瞳を柔らかな茜に変えた今でも顔を背けてしまった。それに歯噛みし、意地になった丹恒は刃の足を肩に担ぎ上げ、腰に指の痕がつくほどの力で掴んで揺さぶる。
「っ、う……ぁ!」
 達した直後で敏感になった内部を抉られて刃が身悶え、丹恒の胸を押し、背を踵で蹴って抵抗するが頑として離そうとはせず掻き抱く。

 丹恒が刃の体内に精を吐き、それでも抜こうとせずに刃の体を抱き締めていれば、スマートフォンから煩く通知が鳴る。ちら。と、見やれば、ピノコニーに行った穹が『お土産どれがいい?』などと大量の写真を送っているようだった。
 まだ滞在期間はある。通知音を無視して丹恒は刃の頬を撫で、口づけようとした瞬間、電話がかかってきて一向に切れる様子はない。恐らく、出るまでかけ続けるつもりだろう。
「うるさい……」
 丹恒をも非難するように、刃は枯れた喉で文句を言い、汗や涙で汚れた顔を手の包帯で拭いながら睨んでくる。

 親友である穹に『間の悪い』として腹の内で文句を言い、耳につけているイヤホンを操作して電話を繋ぐ。
『あ、丹恒!お土産の写真見た?どれがいい?俺のお勧めはねぇ……』
「すまないが、今取り込み中だ。土産は何でも構わない」
 素気ない態度で端的に告げ、一応なりとは謝ったが直ぐに切るとイヤホンも放り投げて刃に向き直る。
「まだ……、やるつもりなのか……?」
「お前だって暇なんだろう?」
 友人と話せばやる気も萎えるだろうと思った刃の期待には添えず、丹恒は熱を帯びた息を吐いて汗に濡れた髪を指で梳く。
「いいかげんにしろ、このくそがきめ」
 髪を撫でる手を押し退け、喉がひりついているのか軽く咳き込みながら刃は罵倒するも、丹恒の眼が瞬時に輝いて身を強ばらせた。

 丹恒は、丹楓の姿を知っている。自身よりも背が高く、殊俗の民で言えば三十歳程度の見目をしており、刃が彼と同じように見ているのならば、『餓鬼』などと言い表したりしない。今ここに居る刃が、丹楓と丹恒を分けて見ている証拠に他ならなかった。
「刃……」
 丹恒の声は喜色に染まり、表情も恍惚となり微笑んでいる。
 何を誤ったのか、刃には判断が付かず、何が丹恒を煽ったのか解らないまま抱き竦められた。もう、丹恒の耳には煩く鳴り響く電話の呼び出し音も入っていかないようだった。
「もういい、やめろ……」
「止めない」
 丹恒は言い切り、半ば強引に刃へと口付けながら欲求のままに貪り続け、満足すれば幸せな心地のまま抱き締めて眠った。

 ▇◇ー◈ー◇▇

「丹恒、ご飯じゃぞ!」
 扉の向こう側からパムの声がして、丹恒は覚醒する。
 隣に刃の姿はなく、居なくなって相応の時間が経っているのか布団は冷たい。
 扉を開けば呼んで直ぐにラウンジへ向かったのか扉の外にパムの姿はなく、丹恒は汗や体液でべたつく体を流すために風呂へ行き、着替えてラウンジへ向かったが矢張り刃の姿はなかった。
「丹恒、あのお友達じゃが……」
「あぁ、あいつはどこに行ったんだ?」
「お前が寝て居る間に帰った……、んじゃが……」
 パムが食事の皿を机に用意してくれながら、言い辛そうにもじもじとしている。
「お前の種族の赤ちゃんはどれくらいで生まれるんじゃ?あの人はまた列車に来るんじゃろ?里帰りか?」
「俺の……」
 性交は可能でも、そもそも持明族には精子がない。
 性器から出ているものはただのタンパク質の透明な体液でしかなく、精子が生きていても刃も男なのだから孕みはしないだろうが、豊穣の神使なら、よもやの奇跡も起こりそうで一瞬だけ己の仔を抱く刃を想像してしまった。
「いや、仔は出来ない……」
 万が一、出来たとしても、龍と薬師の能力を受け継いだ仔は果たして、どんな怪物か。
 ピノコニーは夢が現実になる夢境であり、可笑しな想像はしない方がいい。
 丹恒は首を横に振り、はっきりと断言した。
「そうかぁ……」
 子守をする気満々だったパムは残念そうに声を落とし、食事を並べ終えると丹恒と並んで座り、気を取り直して手を合わせた。
「まぁ、番に無理をさせてはいかんぞ?随分と疲れておる様子じゃったから、俺特性のドリンクを上げてやったぞ」
 列車から出て行った際の刃はどのような様子だったのか、
 最終的に、胡乱な瞳で丹恒を見詰め、『くたばれ、たんこう』と、言ってくれた事だけは覚えている。また、それによって犬が全力で尾を振るように理性が飛んでしまったため、後は覚えていないのだが。

 今度、静かな場所で会えれば、少し共にのんびりと歩いてみるのも良いかもしれない。などと丹恒は夢想した。
 その程度ならば赦されるだろう。

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