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スターレイル用

請い願い慕う

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・プロポーズ龍尊様
・R18
・独りで盛り上がってやりたい放題の丹楓
・無理矢理抱いちゃう丹楓







 誕生日?
 如何にも不思議そうな声色で丹楓が応星を見詰めながら返す。

 丹楓宅の園林にて、月見酒の合間に応星が何気なく、
「お前って誕生日っていつだ?龍尊様なら盛大に祝われてそうなのに、聞いた覚えないなって思ってさぁ?」
 との質問を投げかけたのが発端であるが、よもや疑問に疑問符をつけて返されるとは想像だにしておらず、質問した応星自身が困惑する事態になっていた。
「自分の生まれた日だけど……、お祝いしないのか?」
「そんなものをして何になる?」
「なん……」
 高々、この世に産まれ落ちた日の何がめでたいのか。
 祝う意味も分からないとばかりに返され、応星は言葉を詰まらせる。

 応星にとって、誕生日は幸せで嬉しい日であるとの認識があった。
 この世に産まれた事を祝福され、美味しいものが食べられて両親も自分自身も笑顔で眠る。そんな日である。

 応星が仙舟に来てからとんと縁が無いものになり果てたが、それでも認識は変わっておらず、尊い立場の人物であれば、それはそれは盛大に祝われているのだろう。その考えは完全に否定されてしまった。
「持明族にも、仙舟人にも生まれた日を祝う習慣はないが、狐族は派手好き故、あれこれとやっておるようだな……」
 丹楓曰く、仙舟人、持明族は寿命が永過ぎるがために生まれた日は然程重要では無く、時節の祝い事の方が余程、大事に扱われてるそうだった。
「そんなもんなのかね……」
「殊俗の民は細々と記念日を作るのが好きだと聞き及んでおるが、其方もか?」
「うぅん、俺はそこまでじゃないけど、好きな奴は好きだと思う……」
 故郷の星で、女の子達が何々記念日などと、はしゃいでいたような記憶はあった。応星自身は記念日をわざわざ作るほどではないが矢張り誕生日は特別で、仙舟に来てから誰に祝われる事もなかったが、その日だけは少しだけ自分を甘やかしていた。
「誕生日か……、何をするものなのだ?」
「えぇっと、特別な欲しいものを貰えたり、美味しいものを食べられたり?」
 ほう。と、丹楓が呻る。
 関心を引いたらしい事を知れ、応星が身を乗り出して両親が居た頃の思い出を語る。
 あれが嬉しかった、これが嬉しかった。思い出は色あせても嬉しかった感情は残り続け、それを今度は己が誰かに与える事で、幸福は伝播するのだと力説する。
「そう言うものなのか」
「うん、丹楓の誕生日は俺が祝ってやるよ。欲しいものはあるのか?用意しとく」
「何でも良いのか?」
「当たり前だけど、俺が出来る範囲だぞ?」
 物欲、名誉欲、金銭欲、それらには興味がなさそうな丹楓ではあるが、欲しいものはあるらしい。何も不足がなさそうな丹楓が望むもの。内心、好奇心が刺激されて待っていれば、丹楓が立ち上がり、応星の前に跪く。

 龍尊が跪く姿に、園林の入り口に立っていた家人が驚いたように飛び上がり、駆け寄ろうとするが、丹楓の、去ね。との、冷たい視線と一言で足を止めてしまう。
「何やってんのお前、あの人困ってるだろ……」
「構わぬ。応星、余には欲するものが一つだけある」
 だからと言って、跪いたりしなくても。
 応星は丹楓の腕を掴んで立たせようとはするが、本人が立ち上がろうとしないため、無駄な足掻きとなっている。
「其方が欲しい」
 丹楓が、応星の手を優しく両手で包み、懇願するように見上げて言葉を紡ぐ。
「応星、其方の全てが、だ。心も、体も、髪の一筋すら余の手中に収めておきたい。其方の愛を余に与えてくれてはくれまいか」
「ぁい……?」
 いつか贈った武器は気に入っているようだった。ならば、装飾品だろうか。くらいは考えていたが、『愛』とは考えつきもしなかったものを要求され、求愛される状況に応星の顔色が赤くなっていくのも構わずに、如何に好ましく思っているかを丹楓は饒舌に語る。

 周囲から不当な扱いを受けようと挫けぬ意志の強さ。
 悍ましい世界を垣間見たとて穢れない気高き魂の清らかさ。
 人品骨柄の奔放でありながら慎み深く、情深き有様。
 仕事への真摯な姿勢、炎に照らされながら金を打つ手の美しさ。
 酒を嗜む際、月を眺める横顔の月の宮人を思わせるような様相を褒め称えた。

「も、もう、いい……、わかったから……」
 蕩々と語られる自身を賞賛する言葉に頭が煮えてしまいそうで、応星は掴まれていない腕で顔を隠し、丹楓の言葉を止めようとするも、
「それは、是と言う事で良いのか?」
「へっ……⁉」
 ただの制止を恣意的に受け取り、破顔した丹楓が応星を横抱きにして性急に移動を始め、辿り着いたのは寝所。全身を赤く染めた応星が、待って。と、蚊の泣くような声をかけても、丹楓は一切耳を貸さず、寝台に横たえて覆い被さってくる。
「余の知らぬ其方を見せてくれ」
 丹楓の筋張った手が応星の腰帯を解き、白い肌に指を滑らせる。
「待てってば……!」
「なんだ?」
 空気が喉に詰まったように出て来なかった言葉を懸命に出せば、今にも泣き出しそうな、甘えるような甲高さを持って吐き出され、応星は何度か咳き込み、呼吸を整えて丹楓へ向き直る。
「急ぎすぎと言うか……、もっとゆっくりだな……」
 求愛から即、体を。などと応星にとっては目の回るような連続で、せめて段階を踏め。と、言いたかったのだが、丹楓は何を思ったのか、口づけながら引き締まった太腿から性器を掌で以て舐るように撫で回していく。
「んっ……ぅ……」
 唇を塞がれながらも丹楓の体の下で応星は藻掻くが、この優しくも堅牢な檻からからは到底逃げられそうに無く、愛撫によって徐々に体に熱が籠もり始め、刺激に腰を跳ねさせれば反応の良かった場所を執拗に弄り回されて力が抜け、翻弄されたまま夜が更けていく。

 ▇◇ー◈ー◇▇

「愛らしかったぞ」
 最早、己の力では指一本も動かせないほど消耗して虚ろな眼差しを空に向けている応星の体を丹楓が抱き締めながら髪に口付け、満足げに微笑む。
 応星が言葉を発しようとしても、枯れた喉では空気しか吐き出せず。寝所に差し込む明かりから、朝の時間帯に差し掛かっているとは知れても、工房へ行く事すら頭に浮かばなかった。

「応星」
 丹楓が柔らかな声で名を呼び、応星の胸部を掌で包み込むように触れて、指先で乳首を挟んで擦れば、散々に舐られ、吸われて歯を立てられたそこは敏感になっており、痺れるような刺激に体が揺れる。
「ゃ……」
 掠れた声を懸命に絞り出し、敷布に頭を擦りつけるように首を降る応星に丹楓が微笑む。
「癒やしてやろうな」
 丹楓の唇が応星のうなじに一瞬だけ触れ、舌で舐め上げながら力を使い、淫猥な触れ方に、ぞく。と、応星の肌が粟立つ。つけられた鬱血痕、噛み痕は治っていくが、疲労感だけはどうしようもなく、軽減されたのみに留まる。

「たんふう……、も、いや……、だ」
 枯れた喉も喋れる程度には回復しても、回復したのならば。と、丹楓が再び長大で硬質な性器を挿入し、肌を撫で回しているため、上擦った甘え声しか出ない。
「何故だ、其方の体は余を締め付けて離そうとしないようだが?」
 丹楓が背後から覆い被さり、応星の体に深く性器を押し込めば、それだけで腰が跳ね、達してしまう。応星の性器は過度の快楽からすっかり萎えて透明な滴が先端から滴り落ちて限界を訴えているが、丹楓は応星の腹を撫で、
「孕んでしまえば良いのにな。其方の産んだ仔ならば愛らしかろう」
 などと、恍惚とした声色で囁く。
「むり、む……っひ!」
 男の己に子を産むような真似が出来るはずも無く、終わりの無い快楽は最早拷問で、応星は涙ながらに懇願するも、性器が体内で動けば甘い痺れが全身を這い回り、奥を突かれる度にあえかな吐息と甘ったれた声が押し出されてしまう。
 本来なら、丹楓に対して友人であり、立場は違えど個としては対等であると感じていた応星ならば、しでかした際に殴るくらいはするのだが、脳と体の快楽の度が過ぎて、怒りも驚きも、承諾する前にこのような関係になった傷心も、何一つ感情が追いつかない。

 結局、朝餉の時刻になるまで苛まれた応星は、丸一日は呆けたままで人形のように丹楓の手によって愛でられながら世話をされていたが、翌日の朝、体力の回復と共に気力が戻れば即、こうなった原因の男の頬に大きな紅葉を咲かせたのだった。

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