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スターレイル用

夢境世界の現実で


・R18
・結構適当な捏造です
・一応R18のモブ刃あり
・刃がモブに犯されてます
・丹恒がモブを殺してます
・恒刃エッチもある。


 ▇◇ー◈ー◇▇

 顔を舐める舌の感触が気持ち悪い。
 だが、頭がぼんやりして抵抗する気も起きず、刃はされるがままになっている。

 両の手首を押さえつける手の力は強く、関節が壊れそうで、体をまさぐる手は忙しなく動き回り、刃が身に付けている衣服を脱がそうと躍起になっている。
 視界には、興奮する二つの顔が並ぶ様を刃は感情のない目で眺めていた。
「本当に抵抗しないな……」
「やっぱり他人の空似だな。あの刃がこんな腑抜けな訳がない」
「何言ってもぼーっとしてるし、夢境に入り浸りすぎたか、スラーダのやり過ぎで頭までやられたんだろ」
「面は綺麗だし、どうせ金持ちのぼんぼんだ。可愛い僕ちゃんがこんな所に来ちゃ駄目だって俺達が教育してやろうぜ」
 もう一人の男が発言に肯定し、下卑た嗤いを刃に向ける。

 刃の顔を知っているらしい男二人がする会話。
 先程まで、分け前がどうのと言い争いをしていた割に趣味は合うようだった。

 ▇◇ー◈ー◇▇

 現実世界のピノコニー。
 ホテルレバリーを離れれば煌びやかで誇らしげに聳え立つ建物とは一転、土地は荒れ果た砂と岩だらけで途端に治安は悪くなる。
 この地を守るハウンド家がピノコニーの有りと有らゆる場所を監視しているはずなのだが、『外』は管轄外なのか、あまり管理はされていない様子だった。

 ここはピノコニーに夢を見て、夢に破れ、金どころか住む場所も失い流浪者となった人間が行き着く場所。
 華やかな世界を外から眺め、浮かれる人々に唾を吐き、あんなものは所詮は夢なのだと否定しながら自らを慰める事しか出来ない人間が住んでいる。

 そんな場所へ、刃が迷い込んだ事は、彼等にとってある種、行幸とも言えた。
 星核ハンターの名はこの惑星にも広まっており、使命手配書とて存在する。刃の懸賞金は八十一億三千万、なんの皮肉なのか生死も問わないとするもの。人生をやり直すには十分すぎる額である。
 だが、己の身を顧みず戦い、狂乱する苛烈な人間性であるとされる刃が、カフカの暗示によって意識が閉じられているため何事にも関心を抱けず、他者の行動に反応を示さず、傍目からは呆けているように見える彼を二人の男は『刃ではない』と、判断した。
 すっかり落胆した彼等は期待を裏切られた代償として見目が良く、身なりも良い刃を穢らわしい欲求によって痛めつけようとしている。
「随分、傷だらけだなぁ。不具の体でも夢境なら健康になれるからそれを求めてきたのかね?」
「そんなのどうでもいいだろ!やらねぇならさっさと変われよ⁉」
 刃の外套を寛げ、肉付きが良く、張りのある感触を味わいながら考察する男に怒声が飛ぶ。久々に人の肉の感触で欲の解消が出来るとあって、かなり焦っているようで、急かすための罵倒は止まらない。
「うるっせぇな。ちょっとは楽しませろよ」
 怒声に怖じるどころか文句も言うが、刃の体に覆い被さっている男の根は素直なのか、彼が穿いているスラックスを掴むと足から引き抜き、太腿や臀部を撫でて、にた。と、笑う。
「恨むなら、こんな所に来ちまった自分を恨みな」
 男は刃の長い足を抱え、自身の男性器を唾液で雑に濡らして後孔に押し込み、無理矢理、異物を押し込まれた事で出来た裂傷も気にせず腰を振れば、痛みによる反射反応で幾許、体が震えたが、刃の目は依然として虚空を見詰めていた。

 刃が何故、このような状態でここに来たのか。
 そこに特別な事情はない。

 仲間であるサムが開拓者を誘う特殊任務を遂行している間、刃は魔陰の症状を抑制するためにカフカの手によって意識を制限する強い暗示がかけられていた。
 本来は、拠点にて大人しく次の命令を待っているはずだったのだが、ピノコニーに星穹列車が訪れた際、丹恒の気配を感じた刃は無意識に拠点から出てしまったのだ。件の丹恒は、ピノコニーに入らずに列車で待機をしているのだが、刃がそれを知る由もない。
 刃はふらふらと丹恒の気配を探して彷徨い、性質の悪い流浪者に目を付けられて攫われた。間抜けと言えば間抜けだが、刃を可愛がって面倒を見ているカフカは別の任務にて運悪く不在で、彼の主人であるエリオは脚本に支障さえ来さなければ放任主義である故に起きた事故だ。

「こいつ、つまんねぇなぁ……」
 犯されても痛みに幾分、眉を顰めたのみでほとんど反応を示さず、感情を乱さない刃に苛ついたのか、それとも支配欲を満たすためか、男は彼の白い頬を強く打つ。が、それでも、刃は衝撃によって頭が揺れた程度で声も上げはしない。
「じゃあ、変われよ……」
「あー、もうちょっと……。悪くねぇんだけど、盛り上がらねぇ」
 刃を犯す男は舌を打ち、理不尽な不満を口にする。
 それでも腰を振る行為は止めず、次第に鼻息を荒くして呻くと排泄を終えた後のように息を吐く。
「さっさと抜け」
「はいはい、こんなつまんねぇの初めてだなぁ」
 精を吐いて萎えた性器を男が抜き、また別の男が刃を俯せに転がして背後から犬のように息を荒げて犯す。こちらは早漏なのか、何度か刃の体内で性器を擦っただけで達したが、名残惜しいのか一向に抜こうとはせず、涎を垂らしながら心地好い肉の感触を味わっていた。
「こいつ俺が貰うわ。いいだろ?」
「好きにしろよ」
 反応を見せない刃を嫌がる男はおざなりに返事し、逆に人形のように抗わず、従順な刃を気に入った男は所有権を主張する。
「あー、いく……」
 言いながら二度目の精を吐こうとした男は、それを成す事なく、砂だらけの地面に首を落として体が折れた。鋭い白刃が空を撫で、もう一人の男の首も刎ねる。
「畜生共め……」
 穂先に付着した血液を勢い良く振って地面に落とし、吐き捨てるように呟く男は蒼黒の瞳に怒りを宿しながら死して尚、刃に性器を押し込んだままの悍ましい害獣を蹴り飛ばす。
 押さえつける手がなくなった刃が体を起こし、石榴の瞳に映したのは探し求めていた人物で、唇が声を出さずに『飲月』と綴る。
「服を着ろ……」
 刃は小さく頷くと、脱がされた服を不器用な手でもたもたと整える。

 どうにかスラックスを穿き、蹌踉めきながら立ち上がると、丹恒が外套の釦を止めてやる。
「とりあえず、列車に行くぞ」
 丹恒が砂と泥、返り血で全身を汚した刃の手を引いて歩かせれば、後孔から注がれた精が溢れて不快感が湧くが、矢張り彼の表情は動かない。

 ▇◇ー◈ー◇▇

 人目を避けながら丹恒は星穹列車に刃を連れて戻る。
 パムが二人の惨状に非常に驚いていたが、丹恒の人命救助との言い訳を信じて『素晴らしい行い』と、誇ってくれたため、小さな罪悪感を抱きながらも刃を浴室へと連れて行けた。
「脱がすぞ」
 丹恒が宣言し、服を脱がしていくも刃は無抵抗。
 服を床に落としても、袖に隠すように腕に嵌められた丹恒の物と酷似する腕甲を外しても無言で、どこを見ているのか解らない目で棒立ちになっている。
「浴槽の中に座ってくれ、洗う」
 軽く背を押せば、刃は素直に従う。
 同じように忘我状態で攫われたのだろう。と、容易に想像が付いてしまう辺り、丹恒は頭が痛くなってこめかみを揉み、普段の無表情が嘘のように苦虫を噛み潰している。
「どうにかならないのか……」
 刃が何に対しても無反応で、忘我となっている姿を見たのは何も初めてではない。とは言え、銀狼によって顔にシールを貼られたり、長い髪を遊び道具にされたりと仕様も無い悪戯に無反応、無抵抗でぼんやりしている刃の様子を穹のスマートフォンで見せられただけなのだが。

 刃は任務で行動する際は通常の人間程度の意識はあるが、かけられた暗示が強過ぎれば自己を忘れて生きた人形のようになってしまう。カフカが彼から長時間離れる場合の措置らしいが、魔陰の暴走を抑えるために致し方ないのだ。と、納得はすれど、先のような輩にまで抵抗しないのは如何なものなのか。

 刃の長い髪にシャンプーを揉み込み、砂や泥、害獣の血液を落としていく。
 抵抗は微塵もない。丹恒の手が顔に触れても、体に触れても目を閉じて、黙って洗われている。
 時間をかけて上半身を洗い終え、丹恒は生唾を呑み込む。
「その、触るが、飽くまで確認と洗浄だからな……?」
 緊張した声色で、下腹部へと丹恒は手を伸ばす。
 刃の耳は聞こえているはずだが、目に入ってきた水を払うように何度か瞬いただけで返事はしない。
 背中にシャワーを当てながら、丹恒は害獣の精で汚された後孔に指を挿入し、裂傷の具合を診ると同時に精を掻き出して流していく。良くも悪くも傷は既に治っており、精も粗方流してしまえば問題はなさそうで、丹恒が胸を撫で下ろすような心地になっていれば、
「んっ……」
 と、鼻に掛かったような吐息を刃が漏らす。
 丹恒は酷く動揺して全身を跳ねさせ、浴槽にもたれる刃を見やれば、頬を赤らめながら胡乱な眼差しで見詰める紅い瞳と視線がかち合う。
「暗示が緩くなってるのなら、もう自分で出来るだろう?俺は出るから後は自分でやれ……!」
 丹恒が捲し立てて立ち上がろうとすると、刃の手が寄る辺ない幼子のように服を掴んでくる。
 もっとやれと言いたいのか、最後まで洗えと言いたいのかは判然としない。
 どちらとも判然としないままだが、顔を赤らめた丹恒は刃の手を引いて立たせると、足にシャワーを当てて汚れを流し、脱衣所に連れて行く。
 バスタオルで体を拭き、大きいタオルケットを捲いて全身を覆うようにして座らせると丹恒自身の髪や顔についた返り血を数分で洗い落とし、顔と髪を拭きながら脱衣所に戻れば刃は大人しく待っていた。
「髪乾かさないとな……」
 刃の長い髪をドライヤーで乾かすのは実に難儀そうで、丹恒も脱衣所の床に座り込み、出来得る限り水気を拭い、温風を当てて乾かしていく。
 少しずつ乾いていく髪を指で梳きながら、丹恒は右手に着けている腕甲が異様に熱を持ち、触れると激しく脈打つような感覚に驚いた事を思い出す。その脈動に呼応するように、己の心臓も激しく鼓動を打ち、不安に駆られて外に出で、熱と脈動に導かれた先で刃は害獣に犯されていた。
 一瞬で頭が真っ黒に染まった丹恒は迷わず首を刎ね、その死骸を己でも驚くほど冷ややかに見据えた。

 アレは人ではなく、欲を貪るけだものだとして。

 腕甲の反応は、刃からの救援信号のようなものだったのか。
 自我を制限され、反応は出来ずとも深層意識では害獣たちを拒絶し、同じ物を持つ丹恒に助けを求めたものか。

 このような事態は初めてだった。そもそも、腕甲にこんな機能がある事すら丹恒は知らず、逃げても逃げても刃が追ってきたのは、これを身に付けていたが故。当時の己であれば理解した瞬間、腕甲を投げ捨てていただろう。
「服もまだ乾かないから寝ておけ」
 時間をかけてどうにか髪が乾かすと刃に声をかけ、丹恒は手を引いて資料室へと赴く。雑然とした己の布団を整え、横になるように促すも、刃は布団の側で膝をつく丹恒の腕の中に潜り込んできて困惑してしまう。
「刃?」
 返事はないものの、刃は丹恒の背中に腕を回し離れようとせず、刃が身じろげば肩に捲いていただけのタオルケットも滑り落ち、白い肌が露わになって丹恒は目と手のやり場にも困り、手を降参するように挙げ、視線を天井に向ける。

 これはどうしたものか。

「服を……、持ってくる」
 側に居るにしても、全裸でしがみつかれていては理性的な意味で困り果ててしまう。
 しかし、丹恒の体躯は細身であり、己が持つ服は身長がより高く筋肉が張っている刃の体躯には合いそうにない。本人不在ではあるもののヴェルトの服を借りれるかパムに訊く事を考える。
「少し待っていてくれ……」
 丹恒が刃の肩を押して下がれば背に回された手は力なく垂れ下がり、動かなくなった。
 刃の裸体を視界に納めないよう注意しながら丹恒は資料室を出て、『冷静に』そう己に言い聞かせて深呼吸の後、パムの姿を探す。
「パム、すまないがヴェルトさんの服を借りたり出来ないか?」
「おお、丁度持って行こうとしておった所じゃ!」
 パムの近くには探し回っていたのだろう包帯と衣服、救急箱が入った籠が置かれており、如才なく丹恒へと手渡す。
「お前等、血が凄かったが怪我は大丈夫なのか?」
「あれは獣の返り血で怪我は大したものじゃないから安心してくれ」
 ほっと息を吐いたパムは不安そうな面持ちから愛らしい笑顔に戻ると列車の業務に戻る。丹恒が手渡された籠を持って資料室に戻れば、刃は入り口に背を向けて横になってはいるが、何も被っていない。
「刃……、体を冷やす」
 不老不死の倏忽に呪われた身である彼が体を冷やした程度で病を招くとは思えなかったが、触れた肌は冷たく嫌な焦燥感を丹恒に齎し、覗き込んだ顔は睫が濡れていた。表面上こそ無関心、無反応ではあるが、精神的に負荷がかかり、蝕んでいるのだと察せられる。
「服、借りてきたから……」
 脳裏に、彼が応星であった時代。
 明かりすら点けられていない部屋で唇を引き結び、声も出さずに涙を流していた彼の記憶が過る。人前で弱みを見せられず、耐えなくていいものを耐えてしまうのは、彼が刃として新しい生を得ても変えられなかった悪癖なのだろう。
「服……、着てくれないか……」
 刃の冷えた指先が差し出された服を押し退け、丹恒の首に腕を回すと再びぴったりと体を添わせる。
「寒いのなら、尚のこと服を着ろ」
 なんなら布団を被ってくれるだけでもいいのだが、刃は丹恒に縋り付くばかりで言う事を聞かない。
「刃、頼むから……、傷つけたくないんだ」
 丹恒は害獣を殺しただけでは気の昂ぶりが未だ収まっておらず、刃を労るために己の内に渦巻く怒りと独占欲を必死に誤魔化している。刃は言葉を口にせず、表層に浮かぶものからは自身に起こった出来事を厭うている事実しか分からない。
 あんな害獣と同類になる真似は避けたい。しかし、このように肉体を添われては理性が揺らいでしまいそうで、とても刃を直視出来ないでいる。
「たん……、こう……」
 耳元で囁くように名前を呼ばれ、天井を仰いでいた丹恒は肩を跳ねさせて刃を見やる。
 刃が丹恒を呼ぶ際は『飲月』と、彼の前世である龍尊が冠していた尊号を頑なに使っていた。それが、名前を呼ばれて感情がざわつき、目が眩みそうなほどの興奮が込み上げる。

 刃の指が丹恒の目元の臉譜から頬をなぞり、唇へと辿り着いて、紅い瞳が蒼黒の瞳を覗き込んだ。
「このままだと、俺もお前を無理矢理押し倒して犯すぞ……」
 荒くなりそうな呼吸を堪え、敢えて強い言葉を用いて忠告するも、刃は視線を逸らさず、ぺたぺたと顔に触れながら体を押しつけてくる。幼児ではないのだから言葉を理解できないはずもなく、こうも縋り付いてくるからにはある程度の認識能力はあると考えて良いのか。

 丹恒は刃を布団に押し倒し、顔を寄せても避けられなかったため口づければ、冷え切った唇は硬く感じたが、丹恒の熱が移って暖かくなっていく。
 自ら欲を持って触れてしまえば、衝動を抑え込むなど不可能に近い。
「痛くないようにする……、から……」
 籠の中にあった救急箱から軟膏を取り出し、指で掬うと刃の後孔へと塗布し、指を沈めていく。
「ん……」
 刃が鼻に掛かった声を漏らして丹恒の袖を握る。
「ゆっくりやる……」
 強引に犯された彼の後孔は既に広がっており、丁寧に解さずとも挿入は可能なようであったが、丹恒は急かすような動作をする刃の髪を撫で、口づけて宥める。
「ぁ……、はっ」
 指で敏感な部分を刺激しながら軟膏を塗り込んでいくと、害獣相手には決して漏らさなかった甘やかな声が刃の唇から零れ落ちる。
 浴室でも感じたが、丹恒の手であれば心地好いのだと健気に訴えているようで、股間が痛いほど張り詰めていく。

 丹恒の細い指を数本しっかりと呑み込むようになった後孔に、丹恒がパンツの前を寛げて出した男性器を当て、刃の様子を観察しながら緩やかに押し込んでいけば小さく身を震わせながら喘ぐ。
 聞いているだけで腰回りが重くなるような、肌が粟立つような声が鼓膜を震わせて丹恒を誘う。
「あっ、は……ぅん……ん」
 丹恒の性器が刃の胎を擦り上げ、悶えると同時に肉が収縮し、締め付けて離そうとしないばかりか、刃の長い足が丹恒の腰に絡みついて、うっそりと細めた目で逸らさず見詰めてくる。

 丹恒は堪らず刃の腰を掻き抱いて性器を肌が密着するまで押し込み、激しく揺さぶれば冷えていた徐々に肌が温まって血の気の薄い白が朱に染まり出す。刃の体中にある傷跡はより朱く鮮やかに浮かび、丹恒が撫でれば身悶えて熱い吐息を吐いた。
 丹恒はどちらかと言えば遅漏な方で、じっくりと愛でるやり方を好むのだが、刃が腕や足を絡めながら『丹恒』と、名を呼び、性器を強く締め付けてくる状況に耐えられず体内に精を注ぎ、荒く息を吐く。
「た、ん、こう……、もっとやれ……」
 頬を紅潮させ、汗を流しながら刃は丹恒の性器が収まる腹を撫でて煽る。
 その表情は必死に過ぎて、眼は快楽に蕩けていると言うよりも何かに急かされているかのように涙が滲み、睫が束になって紅が揺らいでいた。

 刃が広げる腕の中に丹恒は収まると、口付けながら律動を再開し、時間も忘れて行為に耽溺していった。

 ▇◇ー◈ー◇▇

 丹恒は、腕の中で眠る刃の髪を撫でながら、いつか来るかもしれない未来を夢想し、たまらない気持ちになった。
 もしも、豊穣の星神を滅した場合、元々短命種である刃は苦しみながらも生き抜いた時間の呪縛から解放され、一気に風化するように消えてしまう可能性があった。

 或いは、ただの人間に戻ったとして、通常の短命種のように歳は取るのか。
 仙舟人にも言える事なのだが、豊穣の祝福を受けた人間達は、その祝福が消えた場合どうなってしまうのか。
 ただの人間に堕ちるならばまだしも、時間の摩耗を一気に受けて苦しみながら絶命する、或いは化け物と成るのでは。仙舟が豊穣必滅を掲げ、巡狩の嵐を崇めながらも一丸となれないのは、根底にその恐怖が存在するからではないのか。

 とりとめない事柄が丹恒の頭を駆け巡る。

 何よりも、丹恒は古海での転生が叶わなければ、刃を遺してしまう。
 逆に、豊穣を下してしまえば、不朽である龍は遺される側となる。
 どちらもあり得る恐怖が薄闇となって丹恒の心を覆う。
 このピノコニーの夢境にすら『穏やかな永遠』はない。

 どう足掻こうと、手に入らないが故に『夢』なのか。

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